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雪国特有の雁木が美しい街並み

三国街道塩沢宿 牧之通り

三国街道塩沢宿 牧之通り

雪国の街づくり・牧之通り

牧之通りは、江戸時代の越後国塩沢の文人・鈴木牧之(1770-1842)にちなんでつけた名称です。雪国の風習、生活を微細に描写した『北越雪譜』は当時のベストセラーとなり、現在でも貴重な博学的文献として高く評価されています。

塩沢は日本でも有数の豪雪地であり、関東と越後を結ぶ三国街道の宿場町として、かつては賑わいを見せていました。しかし、近年商店主の高齢化や定住人口の減少、さらには郊外型店舗の隆盛によって空き店舗が増え、日本の地方に共通する活性化が課題となっていました。

そこで街路事業(道路改良)を機に、伝統的な雪国建築を生かした街並形成を目指し、建築物の外観、意匠の統一、色彩制限、さらに2メートルのセットバック空間に雁木(がんぎ)を設置することなど、独自の建築協定を設け、雪国特有の街並み、その魅力を再現しました。

ここで雁木について説明しましょう。雁木とは、家の前に出した庇(ひさし)の呼び名。雁木通りは、道路沿いの家々が庇を伸ばして冬の積雪時の道路を確保する雪国の暮らしの知恵です。江戸時代前期から整備され、かつては日本海側の諸都市で見られましたが、明治時代以降は減少しました。牧之通りにも一部残っていましたが、街路事業を機に完全に復活しました。

牧之通りは、平成二十三年度に都市景観大賞を受賞しました。特に秋冬の抜けるような広い青空、美しい山並み、緩やかな大地の起伏、街と自然が一体化して表現する空間、雁木という雪国独特の意匠は、自律の精神を内に秘めた塩沢の越後上布や塩沢紬のように、控えめでありながら揺るぎない創意によるものではないでしょうか。単に与えられたルールに従うのではなく、自立した個性の強調として街づくりを行ってきました。それが牧之通りの雰囲気を決め、それはただ単に色や意匠をそろえただけでは出てこない、雪国の育んだ街の力を思い知らせ、景観とその向こうにある人々の暮らし、文化を翻訳するものです。

具体的なイベントとしては、二月の第三土曜日から旧暦のひな祭りである四月三日まで行われる「ひな雪見かざり」、そして十月一日より十一月二十三日まで行われる「つむぎ語り」、どちらもこの地域と切っても切れない雪とのかかわりです。雪の中で飾るひな人形、越後上布の品質をより向上させる雪ざらし。それぞれの家に長い間伝わるひな人形、越後上布や塩沢紬などを展示することで、その家の持つ伝統や物語を語っています。

このイベントの主催者は牧之通りの女性たちによって結成された「射干の会」です。女性ならではの目線で力をいかんなく発揮し、牧之通りの継承・発展に大いに貢献しています。

街づくりは十年二十年でできるものではありません。完成を目指して長い時をかけて進んでいくものです。私たち牧之通りの個性的空間は表出された場を土台に、人々の立ち居振る舞い・品格をより高いレベルに押し上げる努力を積み重ねることだと思います。

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名称 三国街道塩沢宿 牧之通り
住所 新潟県南魚沼市塩沢1112-32
電話番号 025-782-1206
営業時間 各店舗による
定休日 各店舗による
駐車場 ふれあい広場無料駐車場(40台)

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PLAY LIST

  • 1.雪国の街づくり・牧之通り
雪国の街づくり・牧之通り
0:00 -0:00

語り手 : 中島屋/中嶋真知子

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