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八海山がもたらす
伝説の伏流水

雷電様の水

雷電様の水

雷電様の水

八海山の麓に位置する藤原地区では、栃の木山の岩肌から湧き出る水を雷電様の水と呼び集落の飲料水として使っている。豪雪地帯であるここ南魚沼は、夏の平均気温が27℃、冬は-1℃と気温差が激しい。しかし、雷電様の水の水温は、夏は12℃と冷たく、冬は11℃と温かく感じる。

岩肌から流れ落ちる清水と南側から湧き出る水は1時間16トンといわれ、山の本流は止まってもこの水は一定不変に湧出し続けた。どんなに日照りが続いても、どんなに大雨が降っても、湧出量は不変であり絶対に濁ることもなかった。

雷電様の水をぜひ口にしてもらいたい。お茶に出して飲んだら日本一、ウイスキーの水割り、ご飯を炊いてもコーヒーに利用してもその旨さは他の追随を許さない。近郷近在はもちろん、今では県外からも水汲みに訪れる人が後を絶たない。なぜこの水はここまで旨いのか。

雷電様の水は、冬の間山に降り積もった雪が解けて山の地面に浸み込んだものである。その水が長い年月を経て地上に出てきて岩の間から噴き出している。そのため、地下でろ過される工程で雪解け水に含まれている不純物がろ過され、土壌中のミネラル成分を多く含んだ水となって湧き出る。このようにして地中で長い年月をかけ、徐々に旨味成分が溶け込み、おいしい水が作られるという。夏でも冷たく口当たりが柔らかいため、今この水は県の名水にも指定され、日常的に使われる水として親しまれている。

また、ここ南魚沼は酒造りが盛んな地域である。おいしい酒造りに欠かせないものは、それに適した環境とおいしい水である。日本酒の製造に必要な水は仕込み水の30倍~40倍と言われるが、この地に降り積もった大量の雪が酒造りの環境に適している。この豊富な雷電様の水が清酒八海山の仕込み水として、活躍している。ここ南魚沼でうまい酒が造られるのにはこうした背景があるのだ。

南魚沼には雷電様の水以外にも湧水が出る箇所がたくさんあるので、是非寄って、口にしてもらいたい。

雷電様にまつわる伝説

その昔、藤原は落雷が多く犠牲者が後を絶たなかった。それを防ぎ守るため集落では雷電様を祀り供養したところ、雷の被害が少なくなったと伝えられている。雷電様の水というのは何千年、何万年も前から流れ、湧き出している水であるが、雷電様という名前はこんな経緯、いきさつがあって付けられた名前である。

また、雷電様の邸には大きな栃の木があった。幹の周り40メートル、木の下にはいつも雨が降っていたため、昼間でも暗くおっかなかったという。夕方になると木の上から、しわがれた声で「子どもは早く家に戻れ。戻らんと腹が減った雷電様が主を栃の実と一緒に食べ、水にしてしまうぞ」と声が聞こえてくるというのだ。この木にはいろんな妖怪が住んでいたが、みな雷電様の家来だったという。

昭和30年代の栃の木沢

荒れ狂った栃の木沢も自然が美しく岩魚のねぐらとして人々を楽しませていた。本流千の滝を上の魚止めとして、その下流100メートルおきぐらいに自然の淵が作られ、そこにはいつも大きな岩魚がたむろして泳いでいたのである。私ども若者はその淵の横でのど自慢に明け暮れ、忘れることのない風景でもある。

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名称 雷電様の水
住所 新潟県南魚沼市藤原762
駐車場 5台(冬季は無し)

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PLAY LIST

  • 1.雷電様の水
  • 2.雷電様にまつわる伝説
  • 3.昭和30年代の栃の木沢
雷電様の水雷電様の水
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語り手 : 藤原地区在住/河邊 亨

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